城に近づくにしたがって、大貴族たちの屋敷が並び、門番が警備する大きな門がいくつも続いていった。

あたしたち一行はおのぼりさんよろしくぽかんと口をあけて屋敷入り口の門の精緻な飾り彫りや華麗なフレスコで描かれて続いていく塀を見つめていた。おしゃべりな乳母でさえ黙って窓から覗いていたくらいだもの。そりゃあ、見ごたえがある光景だったわ。
仕方ないわよね。本当にあたしたちはおのぼりさんなんだから。こんなに多くの人や建物を見ることさえ初めてだったんですもの。

そして、お城!!

装飾を抑えたつくりでありながら壮麗!大貴族たちの派手な装飾がごてごてしすぎていると思えるような素敵なお城だった。この城が王の威厳を示すと同時に戦略上もっとも効果的に作られているらしいってことは後で知ったこと。

そのときは、あたしはただ目を見張って馬鹿みたいに口を開いたまま見上げていただけだった。

城門に着き、荘園から一緒にやってきた先触れがあたしの到着を城の警備兵に告げると、すでに知らせが届いていたのか、『どうぞお入りを』と言われて、厳しくていかにも頑丈そうな城の門が開き、あたしたち一行は城の中へと入ることが許された。

正式で重要なお客なら、ここでミードの入った杯を持った女性が祝福の言葉とともに迎えてくれるはずだけど、あたしたちはそんなことをしてもらうほど大切なお客様じゃないから、当然のようにそんな儀式は、ない。

あたしたち一行は指定された部屋に入って荷物を解いてほっとしていた。あたしたちに用意された建物の一翼は、荘園の館全体に匹敵するくらいに部屋数もあるし、設備も豪華で便利に整っていた。下働きの召使も揃っていてあたしたちがうろうろする前に面倒を先回りして世話してくれたから、何も悩まずにくつろぐことが出来たわ。

ずいぶんと丁重な扱いをしてもらっていると喜んだけど、後で知ったことでは大貴族の扱いはもっとすごくて、召使の数とか部屋数とか多いらしかった。

このお城に王の取り巻きとしてずーっと住んでいたいって願っている貴族が多いって聞くけど、それもこの至れり尽くせりのもてなしを見ればよくわかる。

あたしは王からの謁見の日取りを知らせてくれるのを待っていた。ここにやってきたのはあたしたちだけではなくてなくて、他の一族から何人もの娘たちが招待されているそうなの。つまり誰か一人の抜け駆けは許さないってことよね?それで、全員が揃ってから一度にお披露目することになったわけ。まるで品物の展示みたいでイヤだけど、小娘が文句言ってもどうしようもないことよね。あたしはジャガイモやカブじゃないんだけどねぇ。

ついた日の夜に王の謁見の時間が知らされた。あたしたちは翌朝一番に王様に目通りすることになったわ。早く到着した人などは半月近くこの地に待たされていたみたいだけど、あたしは幸運なことに意外なほど早く用事が済ませられることになったってわけね。その分、準備しなくちゃいけない乳母や侍女たちは大変で、運んできた荷物の中からあれやこれやと夜遅くまで支度をしていたみたい。

あたし?
あたしはさっさと寝たわよ。だって王様にお会いしたときに目の下にクマができたり目が充血していたりしたらまずいものね。ただでさえ美貌なんて言えないあたしなんだから、少しでもよく見せるようにしなくちゃ。城の貴族たちや一緒に拝謁を受ける令嬢たちに田舎ものが舞い上がって寝不足なんだろうなんて馬鹿にされたら立ち直れなくなっちゃいそうだし。

翌日は乳母が夜が明ける前から張り切ってあたしの支度にかかりきりになっていたわ。居間の暖炉のそばに風呂桶を世用意してもらって、大きな入れ物で何回もお湯を運んできて、耳の後ろや指の間までしっかり洗われちゃった。極上の麻で出来ている柔らかな拭き布でからだを拭いて、もちろん髪の毛もきちんと洗って、暖炉のそばで乾かした。

それからこの日のために用意してあったドレスに着替える。

ふちにレースがあしらわれた黄色がかったリネンのシュミーズ。細かな織り目のペチコート。持参した茶系や青系のオーバースカートの中から濃い色の茶と青い色の二枚を選びだした。それにあわせてレモンイエローのボディス。茶色の縞のウールの靴下。仕上げには黄色の上履き。髪飾りには金を編んだネットを使って大人っぽく髪をおさえた。

乳母と次女は荘園から持参したものを組み合わせてなんとかあたしを出来るだけ綺麗に見えるようにあれこれと工夫していた。でも田舎の荘園の娘なんだから、ここに来るまでに見かけたりした貴婦人たちのようないかにも高級なものを着慣れていますって感じは出てこない。・・・・・当然だけど。

うんざりするほど何度も着替えたり髪型を変えたりさせられ、ようやく王様の前に立つ準備が整った。

でもあたしとしては別に王の目に好意的に見られようなんてことはどうでもよかったんだけどね。あたしがここに来たのは、王の目に留まることではなくて、自分が知りたい様々な知識に触れるためなんだから。少しでもこの都に長くいるようにがんばらなくちゃ。

さて、王様に会いに出かけましょうか。




大広間に集められていたあたしたち妃候補あるいは妾妃候補の女の子たちは呼び出される声を待っていた。

「○○一族のご息女、××様、△△一族のご息女、◇◇様・・・・・」

次々と先触れが呼び上げていくと、いかにも自分の容姿に自信がありそうな女性たちが精一杯にこやかに王の前に進み出ていき挨拶をしていた。でも、この王様ときたらまるで興味がなさそうで、軽い一瞥を与え軽くうなずいてみせて、みんなを下がらせていた。

「スプリング・ヒル荘園から参られた、ハリエット一族息女、モエ・メアリ・ハリエット様」

あたしの番だ!

あたしは精一杯おすましした顔で進み出ると、せいいっぱい礼儀正しく一礼した。本当は王様の顔を盗み見るなんて不敬なことなんだけど、あたしは王様の気を引くつもりなんてないから、神妙なふりをしながらこっそりと見てしまった。

うわ、話には聞いていたけど、すっごいハンサム!顔立ちが整っているだけじゃなくて、黒い髪も黒い瞳も印象的で、そして何よりもはっと人の目をひきつけるオーラがこの人が只者ではないことを示していた。

今は椅子に座っているけど、背が高くて均整がとれているのが良くわかる。椅子の肘に頬をついて、態度はいかにも退屈そうに見えたけど、黒い瞳が炯々と光っていて、前に立つものを皆射すくめてしまう。並んでいるときにはあたしたちのことなんて見る気もしなくて無関心に見えていたけど、近くで見るとそれどころか見たくもないものを見せられているってうんざりしているのがわかったわ。

王様は他の人と同じようにあたしの方をちらりと見ただけで手を振って下がらせたので、内心ほっとしながらそそくさと御前から逃げ出した。視線から逃れられることにほっとしながら。
そのときにちらりと見えたのは、王様のすらりと長い指にはめられたエメラルドらしい指輪。黒尽くめの衣装を着ている中で、それだけが色彩を持っていてとても印象的だった。

王様が女の人に興味がないっていう噂、本当のことだったみたいね。女性たちを見る目にまったくといっていいほど熱がこもっていないもの。

「□□一族のご子息、●●様」

えっ、男の人ぉ!?

あたしは思わず呼ばれた人を振り返ってしまった。他の愛妾候補の女性たちも動揺していたみたいで、顔は澄ましていて表情はほとんど動かしていなくても、ちらちらと好奇心といらだちを混ぜたような視線を『彼』へと向けていた。

お世継ぎが必要だからお妃や愛妾が必要だって聞いていたけど、愛妾なら女じゃなくてもいいってことなの!?

「陛下、お目にかかれて光栄です!」

くるくると渦巻いた金髪と青い目をした青年がはつらつとした声で挨拶していた。某大貴族からの推薦でやってきたらしいと、周囲の人たちがひそひそと話していた。

彼はいかにも自分の魅力がわかっているといった様子で愛嬌よく王様に微笑みかけていた。でも王様は表情を変えることはなく、あたしたち娘たちと同じように一瞥だけで下がらせてしまった!・・・・・こういうかわいい感じの男の人って好みじゃなかったのかなぁ?夢中になっているという愛人はもっと、・・・・・その、男っぽいたくましい男の人なのかしら?

「皆、遠路はるばるご苦労だった。ロンディウムはあなたたちをを歓迎する。この地で楽しんでいってくれるように」

よく響く声でそう告げると、これで会見が終わったことを自分が王座から立ち上がることで示した。マントをさばく時、きらりとまたエメラルドが光って見えた。そのまま王様は老臣たちの苦々しい顔など気にもせず、そのまま足早に謁見の間を出て行ってしまった。

「・・・・・嘘でしょう!?」

あたしの二人隣に立っていた女の子が思わずといった調子でつぶやいている声が聞こえた。綺麗な栗色の髪のかわいい人だった。他のみんなも謁見が終わり、退場するようにと儀礼係に促されたけど、みな呆然としてなかなか立ち去ろうとはしなかった。

そうよねぇ、愛妾、あわよくば妃候補となるつもりだったのなら、そう思うのも当然のことよね。ここですぐに選んでもらうというのは無理だとしても、もうちょっと王様とお話が出来て、自分を知ってもらえるなら選んでくれるに違いないと考えていたに違いないですもの。今この国は繁栄していて、本人もとてもハンサムなのだから、王様じゃなかったとしても言うことなしの夫候補に違いないもの。

でもあたしは違う。これで面倒な用事が済んだって喜んでいた。夫探しをしにきたわけじゃないし、色仕掛けで王様を篭絡するつもりなどさらさらない。だから嬉々として一番乗りで大広間を出て行って、そのまま中流貴族用の控え室へと戻った。

この部屋に控えていた乳母や侍女を連れて、さっさと自分たちに割り当てられていた建物へと引き返してしまったの。



宿舎に戻ると、乳母は王様との会見の様子を知りたがった。あたしが話したことだけでなく、更に細かいことを根掘り葉掘り聞きたがったし。あたしの心配というよりも、荘園に帰ったら召使仲間たちに話すネタにするつもりなんだろうと思ったわ。

「そりゃ大勢の器量自慢の娘さんたちの中からお嬢様が選ばれるチャンスは少ないかもかもしれないとは思いますよ。ですがここは運を自分でつかまなければいけませんからね。これからが勝負でございますよ!
いいですか?ここはまず王様のお好みを見つけることがかんじんですね。それからなるべく多くお会いして、お好みの話題でおしゃべりをするんです。

ところでさて、どこにいけば一番王様に会えるチャンスがあるんだろうかね。誰か詳しい者を探し出して、聞き出さないと・・・・・」

ネタだけじゃなかったのね。聞きたいことを全部聞きとると、あたしに少々のお説教をしてから、次への手立てを考え出していた。

乳母はあたしを王様に引き合わせることに熱心だ。それこそが自分の手腕にかかっているかのように。こっちはそんな気はまるでないっていうのに。

「・・・・・ちょっと散歩に行って来るわ」

あたしは王様のことよりもこの城の中を探検したくてしかたなかったから、さっさとお披露目用の豪奢な綾織の衣装を脱ぎ捨てるともっと軽くて動きやすいドレスに着替えた。本当はもっと汚れてもいいようなドレスがよかったんだけど、さすがにこの王城には持ってこられなかった。

まずお目当てはこの城の中にあるはずの薬草園を探し当てたいと思っていた。こんなに大きなお城だったら必ず城内で使うための薬草園があるに違いないんだから。そして、あわよくば薬草のことを教えてくれそうな庭師も。

本当は医師を探してお弟子にしてもらいたいと願うのが本当のやり方なんだろうけど、あたしは女だからお弟子にしてもらえるのは難しいことだとわかっていたし、何年も故郷を離れて修行させてもらえることが出来るとは思えない。

だから、少しでもチャンスを得られるように、まずは薬草園を探索する。

でもあたしがこの城に来て早々に歩き回ることに乳母は難色を示した。もっともそれに対抗する手はあるんだけどね。

「お城の中を歩いていれば、きっと王様のことをいろいろ聞けると思うのよね」

「おお、お嬢様、いい心がけでございますよ!この城に住む他の貴族様がたに王様のお好みを聞いてくるわけですね!ええ、ええ、そうでしょうとも。それが一番いいことでございますね。どうぞしっかりと教えていただいて、王様の目をむけさせるような手を打つのでございますよ」

乳母はあたしがその気になってくれたのかと大賛成だ。

でもね。あたし、そんなこと絶対にしないから!

なんて言葉は口にはしないで、苦笑しそうな顔を引き締めて軽くうなずくと、さっさと部屋を出て行った。そして、じゅうぶんに部屋を離れてから大笑いしたんだった。




「えーと、確かにこっちだと思うんだけど・・・・・?」

あたしは庭の城に出るとあちこちを見て回った。本当は貴族の娘なら乳母か侍女をお供として連れていかなくちゃいけないと分かっているんだけど、口の速さに比べて足が遅い乳母や、ぼんやりで役に立たない召使がついてこられちゃ行きたいところにも行けやしない。だからあれこれうまく言いぬけてあたし一人で出かけることに成功した。

いくつかのくぐり戸を通って奥へと進んでいくうちに、あたしの鼻は何かハーブのいい匂いがしてくるのを感じた。・・・・・これはラベンダーかしら?それに他にもいくつものハーブが。

風の向きを読み取るのに苦労しながら、ようやく匂いの場所にたどり着くことが出来たのだから、とてもラッキーだった。

そこは塀に囲まれた小さな庭園で、入り口には現役は退いたのだろうけどまだまだ元気そうな老兵士が見張りに立っていた。入れてくれないかと頼んだんだけどあっさり断られてしまった。

「ここは許可された人間だけが入れる薬草園だから、お嬢ちゃんは入れないよ」

ですって。

この王宮のための薬草園ってことなのかしら。

「薬草を見たければ、向こうの外郭に御用医師たちが使う診療所用の薬草畑があるからそっちに行けばいいよ。ただし、そっちは御殿医の許可がいるはずだけどね」

ふうん、そうなんだ。

ということは、あたしがそっちの薬草畑に入れる許可をもらうなんて、もっと無理じゃない?御殿医の許可を得るにはお弟子にしてもらうか王様のお許しをもらうしかないってことは、あたしにもわかることだから。

つまり他所から来た者をこの城の薬草園に入れるつもりはないってことね。

それはそうかもしれないわね。薬草は王様や貴族の方々のご病気や傷を治すために使われるものだから、勝手に入られて盗まれたり毒草に変えられたりしたら大変だもの。高価で珍しい薬草もあるだろうし、知らない人に踏み潰されてしまったら管理する人の責任になっちゃうし。

あたしは老兵士に手を振ると、そのまま薬草園から離れて他を当たるつもりだったけど、未練がましくぐるっと塀に囲まれている庭園を回ってみた。
塀は高いから乗り越えることは出来ない様子だった。・・・・・なんて、入る気がまだ残ってたのよね。

「あらっ」

一箇所だけがんばれば中に入れそうな崩れた場所があるのを見つけてしまって。

どうしよう?

あたしはこっそりとあたりを見回した。無鉄砲だって言われるのはいつものこと。あたしは深く考えないまま思いつきを実行に移すことにした。

誰もいないわね。

淑女らしくないけど背に腹はかえられない。あたしはオーバースカートの裾をたくし上げると、塀をよじ登った。崩れかけたとはいってもそこそろ高さはある。なんとか・・・・・っと!必死でよじ登っちゃう。誰かに見つかったらはしたないどころじゃない、つまみ出されてしまうに違いないから、大急ぎで庭園の中にもぐりこんだんだった。



「すご〜い!」

あたしは思わず歓声を上げて、あわてて口をふさいできょろきょろとあたりを見回した。

誰かに聞かれなかったわよね?

そこに広がっていたのは、目を見張るくらいたくさんの薬草の畝だった。一種類の株数は多くない。その代わりにその種類はとても多い。あたしの知っている薬草だけじゃなくて、知らない植物もたくさん植えたあった。たぶんこれ全部が薬草なのよね?

そして、間違えたりしないようになのだと思うけど、少し離れた一区画には毒草だと分かる植物たちが植えてあった。更には塀の際にはミツバチを飼うためらしい木の切り株を利用したものが数個並べられていた。きっと薬を練るための蜂蜜や蜜蝋を採るんだわ。

好奇心のおもむくままに、あたしはせっせと見て回った。

毒人参(ヘムロック)、狐の手袋(ジキタリス)、曼陀羅華、ヒヨス、イヌサフラン、スズラン、etc、etc・・・・・。その他、見たこともないような異国の植物たちまで並んでいた。

「なんてたくさんあるのかしら・・・・・」

あたしはなにげなく朝顔に似た花に手を触れていた。この綺麗な花も毒を含んでいるんだと思うと、なんだか不思議な皮肉を感じてしまった。

「その花に触っちゃいけない!」

あたしのうしろから厳しい叱責が飛んできた。

「君は誰?ここは許可がなくては入れない場所だよ」

「ご、ごめんなさいっ!」

あたしはあわてて花を離すと、くるりと振り返った。

うわぁ!なんて綺麗な人!この薬草園を守る天使・・・・・ってわけじゃないわよね!?人間よね?

ぽかんと口を開けてこっちに向かって走りよってくる人に見ほれていた。背後から夕日がさしていることもあって、髪の毛は金色に輝いて後光が差しているように見えた。その上白くてあっさりした服を着ているものだから、よけいに天使に見える。一瞬、背後に白くて大きな翼の幻影まで見えた気がした。

でもその人が近づいてきて夕日が彼から逸れると、やはり人間だと分かってたのでほっとした。とは言っても、すぐ近くで見ても綺麗な人には変わりなかったけど。

さっき大広間の謁見で見た、王様の愛妾候補としてやって来ていた男の子なんて目じゃないわ。

「何か口にしていない?ここには口にしただけで死んじゃうような毒草も植えてあるんだよ」

眉をひそめてこっちを見ている。夕日が透けて金色だと思っていた髪の毛はあたたかな大地のような色で、目はハシバミ色。よくあるような色合いなのに、どうしてこんなに綺麗に見えるんだろう?こんなに綺麗な人に心配して声をかけてもらえるなんて、それだけでもここに来た甲斐があったってものよね。

なんてぼんやり考えてちゃだめだった。

「あ、ごめんなさい。勝手に触ったりして。でも大丈夫です。この花が毒がある曼陀羅華だってことは知ってますから。あとでちゃんと手も洗います」

「ああ、そうなんだ。もしかして君は新しく来た療法師なの?」

「違います。でも療法師になりたくてここにやってきたんです!」

ほっとしたように彼が笑んだ。

「でも、だったらどうしてここにいるの?療法師になるのならこっちは診療所のための薬草畑じゃないよ。ここはね、王専用の薬草園なんだよ」

「ええっ!?」

あたしったらそんなとんでもない場所に入り込んでいたんだ。